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DEV LOG — FABLE 02

技名から弾幕を起こす
—— 童話を弾の動きに翻訳する

弾幕を作るとき、先に弾の動きを考えたことって一度もないんです。
いつも先に技名を決めて、その言葉が指しているものを弾の動きに置き換えていく、という順番でした。

2026年9月17日 · フェイブル・オブ・アビス

名前が先、動きが後

この作品には22枚の弾幕があります。ボス一体につき四枚前後。それぞれに名前が付いていて、ゲージが変わるたびに画面に出ます。

作る順番はいつも同じでした。まず、その少女の物語のどの場面を切り出すかを決める。その場面に名前を付ける。そのあとでその名前が正しく聞こえるような弾の動きを探す。動きから始めて、あとから名前を付けたことは一度もありません。

なんでこの順番かというと、弾幕の見た目そのものより「この弾幕は何の場面なのか」が伝わるかどうかを優先したかったからです。物語が先にあってゲームが後からできた作品なので、弾幕のほうが物語を裏切ると全体が崩れます。

実際にどう置き換えたか

始めはなかった赤い頭巾

赤ずきんの一枚目です。「始めはなかった」という言葉をそのまま実装しました。画面のどこかに、まず円の印だけが出ます。そこにはまだ何もありません。しばらく経ってから、その円に沿って20発の弾が後から現れて動き出します。

弾を撃ってから飛ばすんじゃなくて、置いておいて、時間が来たら動き出す。これだけで「最初は無かったものが、あとから在る」という感じが出ます。我ながらここはうまくいったと思っています。

消えた実母

ヘンゼルとグレーテルの一枚。兄妹が二人同時に相手になる話なので、画面の左右で二体が円を描いて動いて、それぞれから弾が出ます。

この弾幕の弾は明滅します。一定の周期で見えなくなって、また現れる。そして消えているあいだは当たり判定も消えています。つまり、見えていない弾はすり抜けられる。「消えた」という言葉を、消えている時間そのものとして実装しました。

二体は互いに逆回りで撃つので、明滅のタイミングをずらしてあります。片方が消えているあいだにもう片方が現れるので、画面はずっと埋まっているように見えるのに、通れる瞬間は必ずある。そういう形になりました。

アイギス

シンデレラの最後の一枚は、巨大な盾を張ってきます。これは弾の動きじゃなくて防御のほうの置き換えですね。盾のある方向からは攻撃が通りません。

ただ、この一枚だけは作っている途中で穴が見つかりました。盾を張っているのにボムだけ貫通する状態になっていたんです。自機の弾とレーザーは別の場所で止めていたのに、ボムの処理からは盾を見ていなかった。攻撃の経路が三つあるなら、三つとも塞がないと盾にならない。言われてみれば当たり前なんですが、動かしているぶんには気づけませんでした。

弾の種類は増やさない

22枚ぶんの弾幕を作るのに、弾の種類を22通り用意するようなことはしていません。弾は一種類だけで、そこに「振る舞い」を組み合わせて別物に見せています。

弾をひとつ置く処理に、位置・角度・速さ・大きさ・色を渡して、最後にオプションをまとめて渡す。用意してあるのはこんな感じです。

置いておくDELAY指定の時間が経つまで動かない。「始めはなかった赤い頭巾」で使っています。
明滅するBLINK周期的に消える。消えているあいだは当たらない。「消えた実母」で使っています。
止まる/また動くSTOP / GO途中で止まって、時間が来ると別の速さで走り出す。
追うHOMING自機のほうへ向きを変え続ける。
加速・回転・揺れるACC / AV / SWAY速さや角度が時間とともに変わる。波打つ軌道もここで作ります。
引き寄せるPULLある一点へ向かって曲がる。渦みたいな形になります。
破裂するFUSE / BURST一定時間後に、その場で複数の弾に割れる。
跳ね返るBOUNCE画面の端で反射する。

新しい弾幕を書くときは、基本この組み合わせだけで作ります。新しい弾の生成経路を別に作らない。これは自分に課したルールでした。

一点にまとめておくと後がラク

このルール、ちゃんと実利がありました。弾を生み出す処理が一か所しかないので、そこをいじると22枚ぜんぶに一度に効きます。

難易度による弾速の補正がまさにそれです。ノーマル・ハード・エクストラで弾の速さを変えていますが、その計算は弾を作る処理のなかの一行だけ。もし弾幕ごとに難易度分岐を書いていたら、調整のたびに22か所いじることになって、どこかで絶対に食い違っていたはずです。

もうひとつ、自機を狙う角度もひとつの処理にまとめてあります。これが効いたのがボムの「グリムリープ」でした。影武者を残して走るボムなんですが、この「敵が狙う先」を影武者に差し替えるだけで、22枚ぜんぶの自機狙い弾が自動的に影武者を狙うようになりました。弾幕ごとの対応は一切していません。ここは正直、作っていていちばん気持ちよかったところです。

逆に言うと、まとめ損ねると同じだけの手戻りが起きます。アイギスの盾で「ボムだけ貫通する」穴が空いたのは、攻撃の経路が三つに分かれていてまとまっていなかったからでした。

弾の数には頭を決めています

画面に同時に存在できる弾は、最大 1400 発と決めています。

上限がないと、条件しだいで処理が追いつかなくなります。で、弾幕シューティングで処理が遅れると何が起きるかというと、避けられるはずだった弾に当たります。遊んでいる側からすれば理不尽な被弾でしかありません。数を出すことより、出した弾が正しい速さで動くことのほうが大事だと思っているので、ここは頭を決めました。

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